【有段までの道のり 20】中盤の考え方6:碁形から戦略を考える

こんにちはー。くまぽろです。

有段までの道のり、第20話。
 
 
中盤の考え方のお話、残りあとちょっとです。
今回は「碁形」について考えてみましょ〜。

-> 第1話から読む
-> 前回のお話
 
 

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碁形とは

ここまで中盤の考え方として、

弱い石を探す
→あれば、攻め方を考える
→なければ、隅のまわりに手があるか確認

とお話ししてきました。

その流れで、もう一つ合わせて考えたいのが
碁形についてです。
 
 
「中盤の打ち方がよくわからなくて困ってしまう」
という級位者の方は
けっこう多いのではないでしょうか?

わたしもこの「碁形」という考え方を習うまでは
あんまりよくわからず、

「なんとなく大きそうかな?」
と思うところを打っていました。
 
 
でも碁形を意識して対局をするようになると、

いまこの局面でどこの価値が高いのか
がわかりやすくなり、

自分なりの理由をもって
次の手の候補を考えられる
ようになります。
 
 
囲碁のどんな部分におもしろさを感じるかって
人それぞれだと思うのですが、

「自分なりに戦略や構想を立てられる」
というのが、わたしの中では
一番の推しポイントかもしれません。

なので、みなさんも
ぜひぜひ戦略を練るために
碁形を学んでいきましょ〜!
 
 

碁形は3タイプ

碁形は大きく下記の3タイプに分けられます。

<模様>
大きく勢力圏を広げている。

<実利>
隅から辺にかけて、まとまった陣地を稼いでいる。

<足早>(あしばや)
盤面が細分化され、お互いに大きな陣地がない。
 
 
上記のどのタイプかによって、
どういう場所の価値が高いかが変わってきます。

それでは具体例を1つ1つ見ていきましょ〜。
 
 

模様

では、まず模様の例として
治勲先生と武宮先生の碁を見てみましょう。

黒:趙治勲
白:武宮正樹

 

 

この碁は黒の模様vs.白の実利ですね。

(ちなみに黒が治勲先生です。
お二人のイメージからすると、逆かと思ってしまいますね)
 
 
模様の碁では、
中央に広げる手が価値が高く
なります。

例えば23手目のカカリも
中央を意識しているので、

ふつうにケイマにかかるのではなく、
4線から高くカカッています。
 
 
相手に模様を張られた場合、

この碁のように「乗り込んでいける!」と
判断した場合は
入っていって生きる勝負になりますし、

「入っていくのは無理だけれど
小さくすれば勝てる」と判断した場合は

模様の境界線あたりに打って
消す打ち方をします。


 
 
さらに、お互いに模様の碁形の場合は
模様が競っているところが
非常に価値が高く
なります。

黒から打ったら
黒の模様が広がり、白の模様が牽制されるところ

逆に同じ場所に白から打ったら、
白の模様が広がり、黒の模様が牽制されるようなところです。

お互いに模様の場合は
そこを見逃さないようにしましょう。
 
 

実利

では、次は実利vs.実利の碁を見ていきましょう。
今度は井山先生 対 山下先生です。

黒:井山裕太
白:山下敬吾

 

 

これはお二人の碁にしては
だいぶ序盤が穏やかだと思います。笑

どちらも隅から辺にかけての
まとまった陣地(になりそうなところ)があり、

お互いに実利の碁形です。
 
 
実利の碁では、
模様の碁とはガラッと変わって

辺や隅をしっかり陣地にすることが
とても価値が高く
なります。

逆に中央には陣地がつきにくいので、
中央の価値が低く
なります。
 
 
お互いに自然にそれを意識されているので、
辺に打ち込んで割いていく手や

逆に辺をしっかり陣地にしようと守る手などが
多くなっていますよね。
 
 
なので、実利の碁だと判断した場合は

・辺に打ち込む
・相手に打ち込まれそうなところを守る

のが有力になります。

また、肩をついて陣地をぺたんこにする手も
よく打たれます。
 
 

足早

最後は、足早の碁形です。
今度は井山先生 対 山城先生の碁を見ていきましょう。

黒:井山裕太
白:山城宏

 

 

足早の碁はまとまった大きい陣地はなく、
小さな陣地が飛び飛びにある
感じです。

この碁の場合は
白は実利か足早か微妙なところですが、

黒の立ち回りがとても身が軽い感じなのが
わかると思います。
 
 
足早な碁形の場合、

中央も価値がないし
辺もまとまっていないので

弱い石を攻めつつ発展するところを探す
打ち方になることが多いです。

また、弱い石もない場合は
中盤でももう大ヨセの手を打つ場合もあります。
 
 
足早の碁が一番中盤の打ち方が
悩ましいことが多いです。

この定石のあとにはこういう狙いがある、とか
この形のときはこう打つと陣地をえぐれる、とか

中盤の戦法を知っていかないと
どこから取りかかっていいのか
なかなか判断できません。
 
 

好きな碁形や戦略を目指して打とう

今まで弱い石の攻め方や
隅へのアプローチのしかたを紹介しましたが、

そこでの判断もこの碁形によって
変わってきます。
 
 
「カカリでもどっちからカカレばいいのか」
「弱い石はあるけど、どう攻めればいいのか」

というのも周りの状態や碁形によって
変化する
わけです。
 
 
こう言うと
「難しすぎるよー。全然わからないよー」
と思っちゃうかもですが、

そもそも正解は1つじゃないので
自分のそのときの発想で
いろいろ試してみれば全然おっけいです。

プロ棋士でも同じ場面で違うところに打つことは
多々あります。

どういう碁形が好みかなど、
棋風によっても意見は分かれます。
 
 
・模様を広げて、
入って来てもらって攻めるのが好き。

・徹底的に実利を稼いで、
あとは相手の模様をうまく荒らしたり消したりして勝つ。

・バランスよく打って、ヨセ勝負で勝つ。
 
 
いろんな棋風があるので、
好きなように打ってみましょう。

大事なのは、自分なりに戦略を持って考えて
自分の選んだ手が考えた戦略とマッチしているかどうか

だと思います。

検討してもらって、自分が打った手が
自分のやりたいことにマッチしていなかった場合は

戦略を実現するためには
どんな手を選べばよかったのか教えてもらうと

次はもっと自分に合ったおもしろい碁を打てると思います。
 
 

まとめ

今回のまとめです。
 
 
碁形は3タイプ。
どの碁形かによって価値の高いところが変わる。

模様
大きく勢力圏を広げる打ち方。
中央の価値が高い。

実利
隅から辺にかけて、まとまった陣地を稼ぐ打ち方。
辺の価値が高い。

足早
盤面を細分化し、足早に展開する打ち方。大きな陣地がない。
中央はほぼダメ場。

 
 
ちなみに、戦いが全局的に派生していく碁は、
戦いが落ち着くまで
どれにも分類できないかもしれません。笑

でも一段落したら碁形が判断できると思います。
 
 
次回は序盤〜中盤の打ち方の
総括をしたいと思います。

ではでは、また〜。

【有段までの道のり 21】序盤〜中盤の考え方まとめ