第31期女流名人戦 挑戦手合第3局 藤沢里菜女流名人 vs 謝依旻六段

こんにちはー。くまぽろです。

女流名人戦の第3局が
3/22に東京・市ヶ谷の日本棋院にて行われました。

1勝1敗で迎えた最終局です。
棋譜にコメントをつけて解説していきます〜。
 
 

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女流名人戦第三局

1局目2局目と棋譜を見られた方は、
もし今までの謝依旻六段の対局を見たことがあれば
棋風が変わっていることに気づかれたのではないでしょうか?

今回の女流名人戦では
依旻ちゃん、今までと全然ちがった打ち方をしています。
 
 
これまでは
厚く打って相手の石を攻めるタイプ
だったのですが、
今回は「地で足早に先行しよう」という
打ち方をしていますよね。

相手の藤沢里菜ちゃんは
地を先に稼いで
あとは弱い石をシノいで勝つタイプ
なので、

そういう得意な形にはさせないぞ〜という
打ち方なのかもしれません。
 
 
最終局は、そこにもぜひ注目して
見てみてください。
 
 

棋譜

最終局は、ふたたびニギりまして
謝依旻六段の黒番となりました。

黒:謝依旻六段
白:藤沢里菜女流名人

持ち時間は3時間。残り5分から秒読みに入ります。

棋譜には、プロ棋士の解説や
囲碁AI・Leela zeroでの検討を元にコメントをつけています。
 
 

 

 

Leelaを見ながら感想

里菜ちゃんが勝利をおさめて、
女流名人戦三連覇になりました!

里菜ちゃん、おめでとうございます!!
 
 
今回の対局もポイントごとに
Leela zeroを見て振り返っていこうと思います。

序盤はちょっと黒の布石が変わっていましたが、
簡明に打ち進め、
右上の攻防がはじまろうとしているところ。


※手を示す丸の中の、上の数字が勝率(%)、下が読んだパターン数です。
 
 
白が一本ツケだけ打ってから
カケていったシーンで、
「黒は右上取り切ってしまえ!」
と言ってます。

なんだか黒はハサんだ以上は
隅に手を入れるの、びみょうな気がしちゃいますよね。

その少しあと、実戦黒はオサエたところで
内側からアテを推奨しています。

やっぱりここのワカレで白がリードしてしまったので、
Leelaはオサエが無理気味と見ているようです。
 
 

白が1子抜いたところで、黒の勝率26%に・・・。

このあと右辺がひと段落したあとで、

白が左下のシマリにまわったところでは、
少しですが右上の取り切りのほうが大きいと
見ているようです。

そこらへんは人間には判断できなそう。笑

※ちなみに、この右上があとでコウになった形は
基本死活のお話で詳しく紹介しています。
 
 

左辺から中央に手をつけてきたあたりでも
白の勝率73%
依然としてリードしています。
 
 

なんだか意外なところですが、

白が右辺をグズミで受けた場面では、
Leelaはノビを推していて、
評価値がけっこう違いました。

ノビだと黒1子カカエてるところが
眼ではなくなっちゃうんですが、
それでも中央に出ていくほうが良い、
と考えているようです。

また、左上をツギじゃなく黒4子にソッて受けたのも
評価値がけっこう違いますね。

ツギで受ければ
多少いじめられるものの、
隅に少しだけ白地ができます。

ソイだと左上隅が完全に黒に荒らされちゃうので
大きいと見ているっぽいですね。
 
 

ここまではずっと白リードだったのですが、
このときに一回チャンスがありました。

実戦は4子を捨てずに
黒枠の23.0のところに打ったのですが、
ノビると一気に勝率40%まで上がっています。

4子を取らせても中央の黒が厚くなるので、
そのほうが良いようです。

ここらへんは解説の三村先生も意見が一致していました。

また、白が左上でコスミツケした前後から
Leelaは中央右のツギを激推ししてました。

左の変化図では
隅の白は切断されても生きている、と見てるんですが、
6で黒は7のとこにハネるのでは・・・?

もしかしたら探索回数が足りなくて
左上隅を読めてないのかもしれません。

白ツナギのあとも中央右をLeelaは重視しています。
ここらへん、黒の逆転の目がちょっとありそうでした。
 
 

最終的に黒がコウを解消したものの、
上辺の黒がとられて白の勝ちが決定的になりました。
 
 
いや〜、藤沢里菜ちゃん、強いですね〜。

依旻ちゃんも相手を意識してか、
これまでと違った打ち方を試していて
とてもおもしろかったです。

お二人とも本当におつかれさまでした!
 
 

他の棋戦も

この対局もYoutubeにて動画が上がっています。
ご興味ある人はぜひ〜。
 
 
女流名人戦は終わりましたが、
まだ十段戦のほうは続いています(次は3/29)。

そちらのほうもお楽しみに〜。

ではでは、今日はこのへんで。