こんにちはー。くまぽろです。
女流名人戦の第3局が
3/22に東京・市ヶ谷の日本棋院にて行われました。
1勝1敗で迎えた最終局です。
棋譜にコメントをつけて解説していきます〜。
女流名人戦第三局
1局目、2局目と棋譜を見られた方は、
もし今までの謝依旻六段の対局を見たことがあれば
棋風が変わっていることに気づかれたのではないでしょうか?
今回の女流名人戦では
依旻ちゃん、今までと全然ちがった打ち方をしています。
これまでは
厚く打って相手の石を攻めるタイプだったのですが、
今回は「地で足早に先行しよう」という
打ち方をしていますよね。
相手の藤沢里菜ちゃんは
地を先に稼いで
あとは弱い石をシノいで勝つタイプなので、
そういう得意な形にはさせないぞ〜という
打ち方なのかもしれません。
最終局は、そこにもぜひ注目して
見てみてください。
棋譜
最終局は、ふたたびニギりまして
謝依旻六段の黒番となりました。
黒:謝依旻六段
白:藤沢里菜女流名人
持ち時間は3時間。残り5分から秒読みに入ります。
棋譜には、プロ棋士の解説や
囲碁AI・Leela zeroでの検討を元にコメントをつけています。
Leelaを見ながら感想
里菜ちゃんが勝利をおさめて、
女流名人戦三連覇になりました!
里菜ちゃん、おめでとうございます!!
今回の対局もポイントごとに
Leela zeroを見て振り返っていこうと思います。
序盤はちょっと黒の布石が変わっていましたが、
簡明に打ち進め、
右上の攻防がはじまろうとしているところ。
※手を示す丸の中の、上の数字が勝率(%)、下が読んだパターン数です。
白が一本ツケだけ打ってから
カケていったシーンで、
「黒は右上取り切ってしまえ!」
と言ってます。
なんだか黒はハサんだ以上は
隅に手を入れるの、びみょうな気がしちゃいますよね。
その少しあと、実戦黒はオサエたところで
内側からアテを推奨しています。
やっぱりここのワカレで白がリードしてしまったので、
Leelaはオサエが無理気味と見ているようです。
白が1子抜いたところで、黒の勝率26%に・・・。
このあと右辺がひと段落したあとで、
白が左下のシマリにまわったところでは、
少しですが右上の取り切りのほうが大きいと
見ているようです。
そこらへんは人間には判断できなそう。笑
※ちなみに、この右上があとでコウになった形は
基本死活のお話で詳しく紹介しています。
左辺から中央に手をつけてきたあたりでも
白の勝率73%。
依然としてリードしています。
なんだか意外なところですが、
白が右辺をグズミで受けた場面では、
Leelaはノビを推していて、
評価値がけっこう違いました。
ノビだと黒1子カカエてるところが
眼ではなくなっちゃうんですが、
それでも中央に出ていくほうが良い、
と考えているようです。
また、左上をツギじゃなく黒4子にソッて受けたのも
評価値がけっこう違いますね。
ツギで受ければ
多少いじめられるものの、
隅に少しだけ白地ができます。
ソイだと左上隅が完全に黒に荒らされちゃうので
大きいと見ているっぽいですね。
ここまではずっと白リードだったのですが、
このときに一回チャンスがありました。
実戦は4子を捨てずに
黒枠の23.0のところに打ったのですが、
ノビると一気に勝率40%まで上がっています。
4子を取らせても中央の黒が厚くなるので、
そのほうが良いようです。
ここらへんは解説の三村先生も意見が一致していました。
また、白が左上でコスミツケした前後から
Leelaは中央右のツギを激推ししてました。
左の変化図では
隅の白は切断されても生きている、と見てるんですが、
6で黒は7のとこにハネるのでは・・・?
もしかしたら探索回数が足りなくて
左上隅を読めてないのかもしれません。
白ツナギのあとも中央右をLeelaは重視しています。
ここらへん、黒の逆転の目がちょっとありそうでした。
最終的に黒がコウを解消したものの、
上辺の黒がとられて白の勝ちが決定的になりました。
いや〜、藤沢里菜ちゃん、強いですね〜。
依旻ちゃんも相手を意識してか、
これまでと違った打ち方を試していて
とてもおもしろかったです。
お二人とも本当におつかれさまでした!
他の棋戦も
この対局もYoutubeにて動画が上がっています。
ご興味ある人はぜひ〜。
女流名人戦は終わりましたが、
まだ十段戦のほうは続いています(次は3/29)。
そちらのほうもお楽しみに〜。
ではでは、今日はこのへんで。