こんにちはー。くまぽろです。
前回は、詰碁を解くときに
こういう順番で考えるのがいいよ〜
というお話をしました。
今回は、どうしてそう考えるべきなのか、
理由についてお話ししていきます。
どうしてその順番で考えるのか
前回はざっくり言うと、
詰碁を解くときは、基本は
外からスペースを狭める手から考える
とお話ししましたね。
詳しくは、
【囲碁入門〜初級】詰碁を解くときは、考える順番が大事!
の記事を見ていただくとして、
なんでこの順番がいいのか
疑問に思った方もいると思います。
もちろん、これにはちゃんと理由があります。
2つプラスαの理由があるので
順に話していきますね〜。
理由1:後からやめても損になりにくい
1つめの理由は、実戦的な理由です。
例えば実戦で、あなたは黒番だとします。
そして、次が黒番の状態で
以下のような形になったとしましょう。
この形は詰碁のように解答が1通りではなく、
外からハネる手でも殺せるし、
中に置く手でも殺せますね。
じゃあ黒がハネたとして、
白は「あ、死んでしまった」と気づいたら
そこはもうあきらめて
他の大きいところに打ちますよね。
そのあと局面が進んで
どこか別の場所でコウが発生したとします。
そのコウは
上の図よりもっと大きな石が生きるか死ぬか、
という大きなコウだとします。
さて、そこで白がコウ材として1と打ってきました。
黒番のあなたは、これを見て
「これは無視してコウを解消するほうが良い!」
と思ってコウを解消しました。
そうすると白はコウには負けてしまったので、
しかたなく2と打って
この死んでいた石を生かすことにしますね。
このときに、黒はもともと
ハネで殺そうとしていたので、
白が生きることになったとしても
ほとんど損をしていません。
ただ、これがオキで殺そうとしていた場合は
少し話が違います。
黒がオキを打った形はこうですね。
別の場所でコウが発生して、
白がコウ材として生きようとする手を打ってきたら
こうなって、さっきと同様に黒がコウを解消して
白がここを連打したら
こうなりますね。
この場合、黒が最初に中にオイた手は
まるまる飲み込まれてしまっています。
ハネたときとオイたときを比べると、
白の地の大きさが違ってしまうんです。
ちょっと難しい話だったかもしれませんが、
要するに、外から狭める手は
もし後からそれをやめることになっても損が少ない手、
ということです。
逆に中に置く手は、
後からやめると損になるので柔軟に変えづらい手、
ということになります。
囲碁は、ある局所的な部分に対する評価は
盤面の他の場所と比べた相対評価なので、
局面が進むにつれ、
その部分に対する評価は変わっていきます。
つまり、今はその隅の死活が
一番大きいところだったとしても
もっと大きいところが出てきたら
そっちを打った方が良いわけです。
なので、同じ殺せる手だったら
外から狭める手で殺したほうが柔軟性が高く、
そういう手から考える習慣が身についていたほうが
より実戦的で良い、ということになります。
理由2:筋や急所のヒントになる
2つめの理由は、詰碁を考える際の利点です。
これは「わたしはそう思う」というだけで
「一般的にそうだ」という話ではないのですが、
外から狭めた形を想像すると、
その詰碁の題意となっている
筋や急所が見えやすいと思います。
例えば、以下の問題を見てみましょ〜。
この問題だと
最初に考えるべき外から狭める手は
黒1と出る手ですね。
これに白が単純にオサエてしまうと
黒が切って白崩壊してしまうので、
白はオサエずに2と打って
4子は捨てて、隅だけ生きてきます。
これだと白全体を殺せないので黒失敗ですね。
こういうふうに外から狭めたときに
白がどこに打てば生きるのかを見ると、
次に考えるべき急所がどこなのかが
見えてきます。
ではここから先は下の動く碁盤で、
実際に解いてみてください。
水色のチェックマークが出れば正解、
赤い×が出たら不正解です。
正解の1手目はもうわかりましたね?
※ちなみに、この問題は黒先コウです。
だんだん詰碁や死活に慣れてくると、
自然と外から狭めた状態を一瞬で想像するようになる
→ 急所がひと目でわかる
というふうになってきます。
そうやってピンと来るようになったら、
そういう場合はもちろん
その急所から考え始めてOKです。
プラスα:読み切れないとき
最後の理由は、
ちょっと消極的な理由ですが…。
実戦で死活を間違えたこと、ありますよね?
たぶん一度も間違えたことがない人なんて
いないと思います。
わたしもしょっちゅう間違えて
毎回「あ〜なんでわからなかったんだ〜!」とか
後悔しています。笑
実戦で
「相手の石、殺せるんじゃないの?」と思ったとき、
理想的にはきちんと読み切って
「確実に殺せる!」と
自信をもって決行するのが一番です。
でも「あ〜わかんないよ〜、読み切れないよ〜」
ってなることもしょっちゅうあります。
時間制限のある対局では特に
ずっと考えているわけにはいかないので、
どこかで決断しなくてはいけません。
これはそのときの形勢にもよるし、
読みがどの程度まで見えてるのかにもよるので
一概には言えませんが、
読み切れなくてわからーん!となったときは
やっぱり外から狭める手が一番損が少ないです。
これは理由1で話したとおりで、
中の急所に置く手などは失敗したら
まるまる飲み込まれてしまうわけですね。
外から狭める手は死活に絡みつつ、
ふつうにヨセの手でもあるので
損になることは少ないと思います。
次善の策を勧めているみたいにもとれるかもしれないので
誤解はしないでほしいのですが、
中に置く手などで殺せると判断したときは、
絶対やってみるべきです。
自分が「いける!」と思ったなら
結果失敗してもものすごく貴重な経験になります。
失敗したことによって、悔しくて
その形が忘れられなくなるからです。
だから、行けると思ったら絶対やってみるべきです!
なので、
「だめだ、これ以上は時間もないし読み切れない」
というときで
「この石を殺さなくても勝っている(または良い勝負)」
というときは
外から狭める手は無難だよ、ということですね〜。
まとめ
けっこう長くなってしまいました。笑
まとめると、
詰碁や死活で外から狭める手から考える理由は
以下のとおり。
1. 後からやめても損になりにくい
2. 狭めることで、筋や急所のヒントになる
プラスα:読み切れないときも損になりにくい
初心者さんにとっては
ちょっと高度な話もあったので、
小耳にはさんでおく程度でだいじょうぶです。
詰碁を解く上では
2番目の理由のほうが大きいかもしれませんね。
ではでは、今日はこのへんで。
みなさま良き詰碁ライフを〜。
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