こんにちはー。くまぽろです。
初級者さんの棋譜検討、第3回目です。
今回は、実戦でなければなかなか鍛えられない接近戦にしぼって検討します。
接近戦でも、考えるためのポイントがある
棋譜検討の第一回、第二回では
急所とも言うべき石の形や、布石の方向感覚について検討してきました。
今回は、同じ読者さんの別の棋譜で
接近戦に的をしぼって解説していきたいと思います。
接近戦はどうしても読みの力が物を言います。
読みは、日々少しずつ詰碁などで
石を頭の中で想像する練習を重ねて、
だんだんだんだん上達するものです。
例えて言えば、筋トレみたいな感じですね。
こればっかりはちょっとずつ積み上げていくしかありません。
ただ、読めるかどうか以前に、
考えるべきポイントを知ることもすごく重要です。
めちゃくちゃ足が速かったとしても
ゴールの方向がわからずに走っていったら、
ゴールに辿りつけないですよね?笑
それと同じで、考える方向性があった上で、
その考えで進んでいいのかを読みで裏付けをとる、っていうイメージです。
なるべくそういう本質的な部分を解説していけたらと思います!
それでは、さっそく棋譜を見ていきましょ〜。
検討その1:頭の中で候補手をあげよう
接近戦に話をしぼるために、
部分的に棋譜を見ていきたいと思います。
棋譜を提供してくださった、やまゆうさんの黒番です。
これは単純に、上から取る手が思い浮かばなくて
なんとなく手拍子で下から受けてしまったのかな〜と思います。
見えてなかったものはもう仕方ないです。
わたしも後から検討で、
「あ〜なんでここ見えてないんだろ」ってこと、いっぱいあります。
そればっかりはどうしようもないんですが、
第一感で浮かぶ候補手を整理して考えると
少し考えやすくなると思います。
この場合でいうと、ワリコまれた瞬間に、
こんなふうに「1か2、だな」と
まずは頭の中で選択肢を整理します。
そして、その上で、両方の選択肢を読めるところまで考えて
どちらが良いのか結論を出します。
この場合は、ある程度強くなれば
2しか思い浮かばなくなるとは思いますが、
「最初に選択肢を整理する」のをちょっと意識するだけで、
今までは考えてもぐちゃぐちゃになって
「あ〜もう全然わかんないよ〜」となってたところから、
「わかんないなりにも、整理して結論を出す」っていうのに近づけると思います。
試してみてください〜。
あ、あと基本的に、より得な手や、相手に対してより厳しい手から
考える癖をつけたほうがいいです。
このケースでは、1より2で白が取れるほうがお得なので、2番から考えます。
それで問題なく白が取れるなら、
1番を考える必要性がないですよね。
検討その2:取られたくない石はどれか
では、先ほどのシーンから少し進んだところから
続きを見ていきましょう。
いま黒が丸に打ったところ。
この手は、左辺の弱い石を助けようと考えたのかなと思います。
その発想自体は良いのですが、ちょっと助け方が中途半端かもしれません。
上に出て行っても、白AやBと白にもいっしょに出てこられて、
右下の模様が自然となくなってしまいますよね。
こういう上に出ていって良いことがなさそうな場合は、
下で眼を作ってしまうのが良いかなと思うので、
悩ましいけどわたしならCに打ちそうです。
さて、ではその後から棋譜を再生していきましょう。
分岐がいくつかあるので、ちょっとこんがらがるかもですが、
一番の焦点はこのシーンです。
白が切ってきた瞬間です。
このときにまず、
黒のどの石と白のどの石がお互いに切断されていて
取るor取られるの勝負になっているのか
を判断することがすごく大事です。
いまは、切ってきた白1子とそのすぐ左の黒2子が
お互いに切られていて、取るか取られるかの状態になっています。
この状況が判断できれば、
- 成功すれば一番得そうな黒2子を助ける手(=2番)
- それがだめだとしても、上からアテて2子を取らせることで、右下の地は確保する手(=3番)
に目が行くようになると思います。
実戦の1は、考えるべき焦点からちょっと外れちゃってますよね。
検討その3:要石はどれか
では、最後の検討譜を見ていきましょう。
先ほどの実戦図の直後からです。
途中、何箇所かで1と2の分岐が出てくるので、
番号のとこクリックして分岐図を見てみてください〜。
実戦では結果的に失敗してしまったのですが、
実はチャンスがたくさんありました。
どうしてチャンスに気づけなかったのかを考えていくと、
どれが一番取らなければいけない要石(かなめいし)だったか
見えていなかった、のが原因じゃないかと思います。
「あの4子を取らなければ!」と思っていたら、
白石のダメを詰めていく方向がおのずと変わってきますよね。
要石というのは、相手の弱い石を分断している石のことです。
つまり、
「それさえ取っちゃえば、自分の石がつながってすごく強い石になる!」
と思えば、それが要石です。
この検討図で言うと、この4子。
これさえ取っちゃえば、左側の黒6子ももう心配いらないわけです。
逆に言うと、石を分断してたとしても
分断された2つがどっちも生きている石(=強い石)だったら、
取ってもあまり意味がないので、それは要石ではありません。
これが見分けられるようになったら、
棋力がものすごく上がると思います。
最初は、判断を間違ったって全然いいんです。
でも、「どれが大事な石か、常に考えよう」と思うだけで
今までと見え方が変わってくる部分がたくさんありますよ。
ぜひぜひ、意識してみてください〜。
まとめ
今日のまとめです。
- 読み始める前に、頭の中で候補手を整理すると、考えがまとまりやすくなる
- 接近戦では、どの石とどの石がお互いに取られたくない勝負所になっているか見極める
- 弱い石を分断している要石はどれか、考える
ちなみに、検討図に出てくる手順が長すぎて
「こんなん読めません。笑」って思っても、
いまは全然いいんですよ。
ぶっちゃけ長い分岐は
わたしも脳内ではそこまで正確に読めません。笑
ただ、考えるための起点となる目の付けどころが合っていないと、
そもそも読める読めない以前の話になっちゃいますよね。
なので、「考え方」「目の付けどころ」が合っていたかに
検討の焦点をしぼったほうが良いと思います。
読みの上達は、もうほんとに地道な努力につきるので、
そこは気長に考えていきましょ〜。
さて、棋譜を検討してもらいたい!という方いらっしゃいましたら、
Twitterまたはメールにてご連絡ください。
くまぽろ
Twitterアカウント→@igo_kuma
メアド→kumaporo@igokuma.com
対象としては、入門〜5級くらいまでの方で、
19路盤に限らず、9路、13路でもOKです。
匿名で載せるのでも、もちろん大丈夫です。
お気軽にどうぞ〜。
ではでは、今日はこのへんで。