こんにちはー。くまぽろです。
遅くなってしまいましたが、
11/1(木)〜2(金)に行われた名人戦挑戦手合第7局。
これが最終局です!
棋譜や局後のインタビューをまとめました。
最終局!
さてさて、ついに最終局です。
第7局は静岡県河津町にある
「今井荘」にて行われました。
海のすぐ近くで、対局室からも海が見えるとのことです。
右奥が今井荘。
対局室からの風景。
対局室の様子。
今回は最後に
局後のインタビューを聞き取ったものを載せたので、
先に囲碁めしのコーナーから行きましょう〜。
囲碁めし
対局者の昼食とおやつをご紹介します。
1日目昼食:井山さん「鴨南そば&まぐろ丼」
がっつり行きますね〜。
1日目昼食:張栩さん「鴨南そば&きな粉アイス」
お、二人とも同じ鴨南そばなんですね。
そして張栩さん、まさかのおやつフライング…!
1日目おやつ:両者「フルーツ三種盛り 〜マスクメロン、マスカット、柿」
後ろの赤いのはスイカかと思いましたが
葉っぱでした。
2日目昼食:井山さん「温かいきつねうどん」
一転して2日目は単品であっさりきました。
シンプルなきつねうどん。
2日目昼食:張栩さん「冷たいきつねうどん&きな粉アイス」
張栩さんもきつねうどん。
息が合っていますね〜。
そして、きな粉アイスどんだけ好きなんだ…笑
2日目おやつ:両者「フルーツ盛り合わせ」
秋っぽくてかわいらしい盛り付けですね。
さて、では本題の棋譜にまいりましょ〜。
泣いても笑ってもこれが最後。
二人ともがんばってほしいです!
棋譜
最終局は再度ニギリまして、
井山さんの黒番となりました。
黒:井山裕太名人
白:張栩九段
持ち時間は8時間。残り10分から秒読みです。
棋譜には、プロ棋士の解説を元にコメントをつけています。
271手をもちまして、白・張栩九段が4目半で勝ち、
名人位の奪取が決定しました!!
張栩さん、おめでとうございます〜!!
途中、黒が勝つ流れになったかと思ったので、
井山さんにとっては悔しい一局になってしまったと思います。
井山さんも厳しい日程の中、
本当におつかれさまでした。
お二人ともゆっくり休んでもらいたいですね。
今回は、局後のお二人それぞれのインタビューを
文字におこしたので載せたいと思います。
張栩さんのは特に長いですが、
とっても良い会見だったので
ぜひ読んでいただけたらと思います!
井山さんインタビューまとめ
– 本局を振り返って
難しいと思って打っていたが、
途中は良い感触かなと思っていた時期もあった。
中盤以降はわからないことだらけで、
最後は正しく打てなかった。
– 終盤のコウについて
コウははっきりまずいのはわかっていたが、
その数手前からどのような図が正しいかわからず、
形勢もよくわかっていない状態だった。
– シリーズを振り返って
今の自分なりに精一杯やったが、
大事なところで残念なミス、
それも含めて自分の実力なのだが、
そういう手が多く出てしまい、残念だった。
そういうところでしっかり打てないようではやはり厳しい。
– 最近の状況について
今年は自分にとって
厳しい年になっているという感覚はあるが、
まだ重要な対局が続くので
次の対局まで少しだけど時間があるので、
気持ちを切り替えて次に向かいたい。
こういう厳しい経験を糧にして、
時間はかかるかもしれないが、
またこういう舞台に戻ってこれるようにがんばりたい。
張栩さん記者会見まとめ
– 10期ぶりの名人位、5年ぶりの七大タイトル、実感は
目標としていたことではあるが、夢みたい。
長い間井山さんに勝てていなかったので、
シリーズ中に5年ぶりくらいに勝って
最終的に勝てるとは
おそらく誰も思っていなかったと思うが、
自分だけは「やれるんじゃないか」と思っていた。
– シリーズ前に、後半戦になれば
体力的に勝算があると話していたが、
戦略をもって名人戦に臨んだのか
戦略というほどのことではないが、
1局でも多く、粘り強く打っていって
7局目を打つことを目標にしていた。
早いうちに負け越してしまって
4局目も内容が悪く、
少し足の怪我の影響(ボルダリングで足を捻挫していた)
もあったと思うが、最悪の状況だった。
でもあきらめずに粘り強く、
悔いのないようにしっかりやろうと思った。
運がよかったと思う。
– 体力面でボルダリングが寄与したか
(怪我という)大きな失敗をしてしまったが、
怪我をしたことで気を引き締めて、
体力回復に専念し、
家にいる時間も長かったので
ふだんより勉強したかな(笑)
– この5年間で台湾に戻ったり、
ボルダリングを始めたりで明るくなったとのことだが
振り返ってみると
最後に棋聖戦で井山さんに負けたときは、
体力的に(もたずに)碁の内容が悪すぎて、
しばらくタイトル戦に戻れないと思っていた。
体力・気力、そして闘志も足りず、
仮に挑戦者になったとしても
勝つイメージがわかない感じだった。
時間が経つのが早く、あっという間に何年も経って
その間挑戦者に近いところまでいったこともあったが、
なかなかチャンスをつかめなかった。
若くて強い棋士もどんどん出てきて
気がついたらけっこう年寄りのほうになっていた。
でも、ここ数年間よくスポーツもするようになって、
むしろ若い頃よりも体力がついてきたと思う。
実際7局戦い抜いても
昔とちがって少したくましくなったかなと思う。
– 闘志に火をつけたのは
やはり連勝を続ける井山さんの存在だったのか
そうですね。やはり七冠もすごい偉業だと思うし、
圧倒的な戦績だった。
一時期タイトル戦で18連勝していたときも
あまり止まりそうになかったし、それを見て
僕はこれじゃあ情けないなと思った。
さすがに挑戦者になって
一度も勝てないというのは無いかな、と。
そういう気持ちで名人リーグをがんばっていた。
でも気がついたら(自分と打つ前に)
連勝が止まっていて、びみょうな気持ちになった(笑)。
でも、たしかに井山さんは強いが、
他の棋士も含めてこれじゃいけないと思う。
戦う前から負けるんじゃないかと思ってるようじゃ。
周りから見れば僕が勝つとは思っていなかっただろうが、
自分は最後は勝てると信じて戦わないと。
どんな状態でも必死に勝ちはもぎとる、
という気持ちは強く持っていた。
– 張栩さんが日本史上最強の棋士だと思う井山さんに、
必ず勝つという信念はどこからくるのか
ちょっとバカみたいな話だけど、
みんなに笑われてもバカをやり続けるというか、
一生懸命やっていれば必ず流れが変わる、そう信じていた。
気持ちだけは若者でいようと思っていた。
– 井山さんとひさしぶりに7局打って
どういう印象だったか
やっぱり強かった。
シリーズ通じていろんな局面で
「こういうところ敵わないな」と思うところは随所にあった。
ただそこは自分も自信をもって
僕も井山さんより強いところはある、
それを盤上で示していく、という気持ちだった。
– 判断の速さは自身でも強みだと感じるか
シリーズを通じて、
持ち時間の使い方は大きな違いが出ていた。
そういう判断の速さ、決断力が
一番の持ち味かなと思っている。
積極的に攻める姿勢を貫こうと思う。
– 昔とっていたころに比べて、名人位の重みは
久しぶりだったので
本当に多くの方に応援していただいた。
昔よく勝っていたころは
勝ってもあまり褒められなかったが(笑)、
今回は応援してくれた人を
喜ばせることができるのが一番嬉しいこと。
– 若いころに比べて自分が成長したと思う部分は
弱くなった部分はどうしてもあると思う。
でも体力や精神力は前よりも(強くなった)、
どうかな、結果が良かったのでそんな感じがするけれど。
今までたくさん七番勝負も戦ってきたが、
カド番になってから勝つことが少なかった。
それが今回は、後半追い込まれても
粘り強く自分らしい碁を打てたのは、
すごく自信になった。
– 7局目は人生の大一番と前に言っていたが、
それに勝ったいまの気持ちは
夢みたい。
シリーズが始まる前にも、目標としては
最終局までしっかり戦って
最後に良い碁で勝つのが理想的な勝ち方だと思っていた。
まさか本当に自分が夢見ていたような形で勝てるとは。
7局目というのは僕の中では
やはり特別な感情を持っていて、
今までも他の棋士よりは多めに経験してきたと思うが、
ひとつひとつが人生の節目のような感じがして、
1局の勝ち負けでシリーズ全体の勝負が決まるという、
究極の状態。
その中でどれだけ自分の力が出せるか、
どれだけ恐れずに進んでいけるか、
人間性も試されている気がしている。
もちろん勝ったことは嬉しいが、
思い切り自分らしく戦えたことで
すごく充実感がある。
– 今後の目標は
タイトルをとったことを意識すると少し気が重いが(笑)
世界でも全然勝てない状況が続いていて、
井山さんも一時と比べて
そこまで勢いが感じられないので、
日本囲碁界としてこのままじゃいけないと思う。
自分もその責任を背負って
先頭に立っていきたいと思う。
立場的にはナショナルコーチなのだが(笑)
若い人たちに良い姿を見せて
「僕がこれだけやれるんだから、
みんなももうちょっとがんばって」
という刺激になればいいと思う(笑)。
持ち時間の少ない対局では
あまり結果が残せていないので、
期待されてもちょっと気が重いが(笑)
もちろんがんばっていくつもり。
– 井山さんは厳しい日程だったが、疲れを感じたか
やっぱり強かったが、
井山さんの一番良いときと比べれば、
ほんの少しミスが出やすいかなと思う。
でも六冠、七冠とタイトルを同時に持つというのは
そういうことなので、それは当然なので、
代わってあげられるものなら代わってあげたい(笑)。
– 娘さんや家族の応援について
家族にはすごく応援されている。
いまは(碁の)内容もよくわかるようになったので、
良い経験になっているのでは。
(注:張栩さんは奥様もプロ棋士(小林泉美六段)、
娘さん(こすみちゃん)もプロを目指していると思われる)
足を怪我したこともあって
歩けるようになるまでもけっこう大変で、
献身的に介護してもらって
家族の支えがあってこそのことだと思う。
– 5年前に棋聖を失冠したときに
「またタイトルを取る」と宣言したのが実現した
そのときはもっと早く戻るつもりだった(笑)。
しばらくは辛い時期だった。
井山さんがどんどん上がってきて
どんどん活躍して、社会的な関心も
井山さんがいつ七冠をとるかという興味に集中していたので、
そんなところで戦いたくもないと思っていた(笑)。
国民栄誉賞までとった井山さんだからこそ、
この時期だからこそ、
絶好のタイミングなんじゃないかと思う。
もう気を使う必要もないかなと(笑)。
– ニコニコ生放送で見ているファンからのコメントを見て
全然流れていることを忘れていたので、
いろいろ調子に乗ったことを言ってすみませんでした(笑)。
今回はすごくたくさんの方に
応援していただいてる実感があるので、
応援の力がすごく大きかったんじゃないかと思う。
応援してくれた方に感謝している。
おわりに
張栩さんのインタビューは
疲れが見える中でもリラックスしていて
ぐっときたり、笑ってしまったり、
とても良いインタビューでした。
ここまで長々とおつきあいくださり、
ありがとうございました!
また他の棋戦でも棋譜解説などを
まとめていきたいと思いますので、
よかったら見てくださいね〜。
それでは、また。